少女病 - 不純不凍ディストーション
不純不凍の
霧に
虚数を
数えた
作為的に
蒼褪めた
声
始まるこの
物語は
或る
少女が
視たVision―――――――
少女が
生まれ
持ったその
瞳は
霊の
姿までも
捉えることができた
少女は
天から
数多の
死者の
言葉さえ
聞き
取る
耳を
授かった
一人きり
隔離されるように
村から
離れ
佇む
不釣合いに大きな館
手入れもままならぬ
館は
深い
霧が
覆い
全てを
拒絶して
Verdict of Guilty
理不尽に
審判は
下された
細い
否定の
声音は
殺されて
Not Guilty
誰も
理解してはくれない ただ
生きているだけなのに
“
悪霊憑き”と
呼ばれて
嫌われて
流行り
病も
天災も
少女のせいで
起きたと
罵られ
罪を
押し付けられていく
日々…
それでも
少女は
何があっても
人々を
恨みも
憎みもしなかった
幼い頃 今のように
誤解をされてしまうまではずっと
普通の
子みたいに
接していてくれてたことを
忘れていないから―――――
Verdict of Guilty
不意に
審判は
下された
願う
心の
叫びは
届かずに
Not Guilty
誰も
振り向いてはくれない
生きていたいだけなのに
彷徨い
惑い
迷い
訪れるのは この
世に
未練ある
無害な
霊だけ
悩みを
意味を
罪を
受け
止めて
冥界へ
優しく
送り出す
友達のいない
少女は
繰り返す
小さな
喪失を ah…
止め
処なく
いつかは
彼らも この
場所から
必ず
旅立っていくのだから
『ずっと
一緒にはいられない……。わかってる』
寂しさをah…
飲み
込んだ
けれどたまに
夢を
見てしまうんだ
誰かと
共に
暮す
幻想を
喪ったあの
日々を―――――――